海水から出来るもので、塩を釜焚き後、水分がある状態で、ざる等に移した際、固形とならず、滴り落ちる液体。主成分 塩化マグネシウム。
名前の通り、苦い汁です。豆腐の凝固剤として有名です。
”江戸時代までは、わらで作られた袋(カマス)に塩を入れ、縁の下でスノコに乗せて寝かせると、夏の湿度により水分を吸収、潮解し、さらに吸収すると液体が滴り落ちていた。”
それにより、にがりを得ていたようです。
その工程を「枯らし」といい、(苦みがぬけるからであろう)甘塩として、高値で取引されていたようです。
当店では、ざるから滴り落ちた液体と脱水後の液体を混合して、にがりとしています。
余談ですが、当店でもヒノキで作成した棚に、脱水後の塩を山積みしていますが、夏場はその棚より、にがりが滴り、まさに「枯らし」の状態の塩が出来ました。
さらに余談。
こうして出来たにがりをタライに入れて一時保存します。
滴り落ちたにがりには、まだ結晶化していなかったナトリウムなども含まれます。
タライの中では、小さな粒子が集まり白い物質が砂のように少しずつ堆積します。
きめこまかな塩化ナトリウム(塩)です。
ざるに布をかぶせ、塩を入れ、滴り落ちたにがりに含まれた塩化ナトリウムだけあって、非常に粒子が小さく味もよく、しかもわずかな量です。
その塩は通常の塩とは区別して、保存してます。
その後、にがりを布でこしたり、沈静化させたりして、別の容器に保存している段階で、容器に、別の物質の結晶化が始まります。
今度は、四角の立方体の物質。マグネシウムのようです。
大きいのは1㎝角位。透明感のあるこの物質は、非常にきれいです。が、舐めると苦いです。
お風呂に入れるといいような・・・。量が少ないので少しずつ集めています。
漬物にも少量のにがり。塩分の浸透性を助け、色も綺麗に。
農作物においては、トマト、スイカ、キューリ、カボチャなど糖度をあげ、切り花などは長持ちする。
肉の浸透を良くする性質があり、肉を煮込む料理などに、にがりを数滴入れると、肉が柔らかくなります。
また、肉のヘモグロビンであるアクを沢山抜く事が出来ます。
ビーフシチュー、ビーフカレー、肉じゃが、しゃぶしゃぶなど、肉を煮込む料理には最適です。
にがりに含まれるマグネシウムは浸透圧が高く、肉や魚、野菜などを煮る際、臭みや苦味の原因であるアクを素早く取り除きます。
また、アクとにがりが結合し凝固することで、透明感のあるスープを作る事が出来るのです。